共在社会

社会的文脈における共在基盤と共在構造の理解

シンポジウム:傍若無人類学 / 大須理英子先生 / 2026年6月14日
場がつくる共在感覚(15:59)
計画研究 / A: 共在基盤 / A01: 共在社会

Research ProjectsA01

A01では、地域、ライフステージ、職場、学校、サードプレイス、孤立・孤独など、現実社会の多様な文脈の中で「共在」がどのように成立し、人々のウェルビーイングにどのような影響を及ぼすのかを明らかにします。

写真:砂浜で佇む一人の女性
沖縄、久米島での「離島の共在」リサーチ活動

共在とは、単に同じ場所にいることではなく、自己と他者が互いにアクセス可能であり、働きかけや相互作用が可能である状態を指します。同じ空間にいても「一緒にいる」と感じられない場合がある一方で、物理的には離れていても相手の存在を感じる場合があります。こうした共在の感覚は、社会的関係、文化的背景、身体の同調、場の雰囲気、個人の特性などが複雑に関わって成立します。

現代社会では、コロナ禍を契機に、学校や職場、地域社会などの物理的な共在の場が大きく変化しました。リモートワークやオンライン授業、SNSなど、ICTを介したつながりが急速に広がる一方で、孤立・孤独、過度なつながり、心身の不調といった新たな課題も顕在化しています。A01は、こうした社会変化の中で、人間にとって「共に在ること」がどのような意味をもつのかを実証的に検討します。

「人間の塔(Castell)」本番

本研究では、共在をマルチスケールで捉えます。個人レベルでは、性格特性、脳活動、遺伝子多型、オキシトシン受容体遺伝子のDNAメチル化などを測定します。個人間・グループレベルでは、関係性、身体同期、心拍同期、脳波同期などを調べます。さらに、社会構造レベルでは、地域、職場、学校、祝祭、居場所、社会ネットワークなどを分析します。

A01は、五つの研究計画から構成されます。第一に、共在感覚・共在効果・共在感受性を評価する指標を標準化します。第二に、漁村、農村、都市部、離島などを比較し、共在の効果が社会的文脈によってどのように変わるかを検討します。第三に、退職前後などライフステージの変化に伴う共在の変容を追跡します。第四に、職場、学校、スポーツ観戦、祝祭などの社会的な場における共在を調べます。第五に、孤立・孤独と共在、ウェルビーイングの関係を検討し、共在が必要とされる場面、必ずしも必要とされない場面の多様性を明らかにします。

図:現在の遠隔コミュニケーションと多感覚遠隔共在システムの違い

これらの研究を通じて、A01は、共在を測定するための指標を整備し、社会的・生物学的文脈と共在感覚、ウェルビーイングとの関係を統合的に記述します。さらに、現代社会の多様性を包摂する新たな共在のあり方を提案し、実践的な展開につなげます。

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