「共に在る」の再定義
「一緒にいる」を学融合的に理解し、実践に繋げる
領域代表 千住 淳インタビュー(08:44)
代表メッセージ
「一緒にいる」を学融合的に理解し、実践に繋げる
領域代表 千住 淳インタビュー(08:44)
現代社会において、「他者と共にある」あるいは「一緒にいる」ことのあり方が大きく変容、多様化しております。例えば、物理的に時空間を共有することなく、情報通信技術を通じて他者と共に在る(オンラインで共に在る)ことがすでに当たり前の日常となってきております。さらに、AIやロボットなどの人工物アクターがヒトと共にあるという、少し前まではSFの世界であったようなことが、既に現実となりつつあります。一方、このような急速な「他者と共に在ること」の変容には、社会からの揺り戻しや懸念も多くみられており、ヒトの社会やこころのあり方は、「共に在ること」の急速な変容・多様化に追いついていない側面もあるように思われます。
伴侶ロボット
この領域では、このような社会の現状に応え、「他者と共にあること」を統合的に理解し、実践に繋げていくための学術変革を目指します。我々の領域の出発点である「共在」という概念は、社会学者の Goffman により1960年代に提唱され、「(自己と他者が)お互いへの(社会的)アクセス、働きかけ、対象化が可能である状態」 ( accessible, available and subject to each other ) を指す用語として提唱されました。「一緒にいる」という、ある意味基底的な感覚を捉える概念として「共在」を用い、多様化する現代社会の共在のあり方を理論・実証・実践研究の有機的な連携から、学融合的に理解し、実践に繋げていこうと考えております。
相互作用の秩序 / Erving Goffman
本領域は、伴侶動物研究、ロボット研究、情報通信技術開発など、日本において国際的な競争優位性を持つ学問分野、また「共在」についての、日本における独自の研究の流れも合流しており、日本発の、世界を先導できるような研究分野につながることが期待されます。我々がオンライン講義やメタバースでのイベントに参加している時、犬や猫、ロボットと時間を過ごすとき、職場や学校、家庭、地域などで日常を過ごすとき、「一緒にいる」ということはどのように実現されているのか。「共在」のあり方についての理解や実践は、ヒトという生き物の理解、ヒトが織りなす社会の理解をどのように変えていくのか。我々の領域から、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
サルに注意!看板
1976年長崎県生まれ。浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター 教授。東京大学大学院総合文化研究科修了、博士(学術)取得。専門は発達社会神経科学。東京大学総長賞、日本心理学会国際賞奨励賞、英国心理学会ニールオコナー賞等を受賞。著書に『社会脳の発達』。